ワトソンワイアットは、戦略先行型の変革論にアンチテーゼを唱え、この10年あまりにわたって企業の事業とヒト・組織を一体でとらえるコンセプトを実践してきました。その間、私たち自身の提言する企業進化論も3つのフェーズを経て段階的に発展してきました。 more そしていま、ヒト・組織の進化は、事業構想に追随・連動するのではなく、むしろ進化の焦点として先行して取り組むべきものであり、「人材構想」から事業進化をしかけていくべきと実感しています。 more このような企業進化に関する考え方をベースに、ワトソンワイアットは顧客企業・公共団体の継続的な進化のメカニズムを作りあげ、自己革新型の企業・組織体への変革をサポートしています。
【これまで・・・ 事業とヒト・組織一体型 企業進化論】 1.プロ型組織・プロ型人材モデル 1990年代に入ると経営環境の変化が激しくなり、従来の戦略主導型の経営が終焉を迎えました。適確に状況をとらえ、進む方向を設定し、素早く実行に移す一連の意思決定のスピードが競争力の源泉と考えられます。 そこで重要なのは、正しいタイミングで正しい判断ができる自律的な人材を発掘し、育て、これらの人々が活躍できる場を提供することです。 これらを実現するためには、伝統的な序列によるマネジメントのあり方を見直すことが必要となりました。その結果、社員の一人一人が自律的に動くことを求め、その成果を追求していくといった新たな組織・人材マネジメントの考え方が生まれました。その根底にあるのが、いわゆる「自由と自己責任」原論です。 ワトソンワイアットは、このような自律型人材からなる組織モデルを「プロ型組織モデル」と呼び、21世紀に勝ち残るための一つの代表的なシステムと考えています。
2.バランス経営 ― 「仕組み型組織」と「アメーバ型組織」、「統合」と「分散」 事業における役割・価値のあり方は一元的なものではありません。企業には、「新たな価値創造」と「生産性向上」の両立が求められます。 組織のあり方もプロ型組織だけでなく、価値の生み出し方に応じて二つの組織モデル ―すなわち、「価値創造」においては自律的な人材が柔軟に動くことのできる「アメーバ型組織」、「生産性向上」の追求においては「仕組み型組織」― があるものと考えます。ここで肝要なのは、各企業の将来的な勝ち方に基づき組織・人材モデルを分化させ、二つの組織モデルを意図的にバランスさせることです。 また、グローバルなレベルでのグループ経営が展開される今日においては、中央集権と分権をバランスする視点も必要です。すなわち、どこまでをグループ全体の経営システムで「統合」し、どこからを各事業の裁量に任せて「分散」させるかのマネジメントを、ビジネスと組織の発展段階に応じて柔軟にデザインすることが求められます。 この統合と分散のマネジメントの中で、グループの競争力として価値観やインフラの共有部分、すなわちプラットフォームのあり方が重要になってきます。時代に応じて、自社の競争力をより強いものにするために最適なプラットフォームを再構築し、事業そのものを支援する体制を整えます。
3.ガバナンス改革主導の変革プログラム ― 組織全体に仮説・実施・検証のサイクルを埋め込む あるべき姿に向けて変革のシナリオを描き、それを実現する組織をデザインしたところで、次に変革の実行の確度を高めるための仕掛けが必要になります。その際、ワトソンワイアットは、経営の中枢たるトップマネジメントから変革を仕掛けること、つまり「上からの変革」が最も有効なアプローチと考えています。 まず、トップマネジメントが自律的に自らを改革しつづけるガバナンス体制をゴールの姿として設定します。経営と執行のあり方を見直し、その担い手である人材のタイプに応じてガバナンス構造や会議体をデザインします。そのときの着眼点は、[仮説⇒実施⇒検証]のマネジメント・サイクルが効果的に機能するかどうかです。ここでいう経営レベルのマネジメント・サイクルとは、「戦略を策定するCEO機能(仮説)」「それを実行するCOO機能(実施)」「結果を数字面より検証するCFO機能(検証)」から構成されます。検証結果に基づいて仮説の修正がなされることにより、経営の質が向上していくことが期待されます。 このような体制を整えると同時に、経営・執行の各役割に対し適切な人材を抜擢し、検証結果に基づき前任者との交代を促すような仕組みが必要になります。結果として、ミッションと人のマッチングの精度が向上します。 こうして人材ガバナンス、すなわち競争原理に基づく緊張状態の中で人材が育ち、より力のある人が生み出される環境が実現されます。 これらのガバナンス改革を実現した上で、一連の変革を全社につなげるための人材マネジメントシステムを整備することが必要です。その際、人材のタイプとレベルを把握し、そのポテンシャルを最大限まで引き出すことを目指します。また、トップマネジメントによって策定された戦略・全社方針を各部門、各社員の評価システムに組み込みます。こうして各自に[仮説⇒実施⇒検証]のサイクルをまわすことを求めることにより、全社のベクトルの方向が一致して戦略実現の可能性が高まることが期待されます。
【そして今・・・ 「人材構想」先行型 企業進化論】 ヒトと組織が進化の焦点 欧米型の変革論に端を発する「事業と人・組織一体型の変革」においては、事業モデルを組織構造に分解し、必要な人材像を定義して、現実の「ヒト」を当てはめるというアプローチが中心でした。すなわち、描いた事業モデルを迅速に実現するような人材が、その企業の中核となるモデルです。しかし、日本社会の構造が激変し、環境変化のスピードがますます速くなっている現在、環境変化に対応するこのようなアプローチでは、競合優位を保ち、他社に先駆けて進化し続けるのは難しくなってきました。 ワトソンワイアットは、これからの日本あるいは世界において、新たな価値を創出し続け、たゆまない進化を続ける企業となるには、ヒトを付加価値の源泉としてとらえ、「人材構想」で先行することが重要だと考えています。 「人材構想」とは何でしょうか。すなわち、ヒトの持つクリエイティビティやパワーに着目し、新たな価値を創出し続ける人材を定義し、そのような人材をひき付け、価値観を共有し、活躍するための場や環境を整え処遇していく・・・このような構想をさします。言い換えれば、どのような「ヒト」とどのような「場」を造りたいかという「構想」を描いて、実現のためのシナリオを明らかにすることです。 ヒトの持つ爆発力やエネルギーを企業や公共団体の進化のエンジンとしていくのが、「人材構想」先行型の企業進化論なのです。 「日本的経営」の進化 これまでの10年は、欧米型の経営に転換する企業が多く見られました。しかし、 欧米型の経営を取り入れたために、かえって日本企業の持つ本来の強みを失ってしまい、失速する企業が続出してきました。 ワトソンワイアットは、日本企業に今、求められるのは、「日本的要素」を見直し、その強さとリスクをコントロールしていくことだと考えています。 強さの源泉は、あくまでも「日本的な要素」、すなわち、@顧客と社員に対する長期的なコミットメント、A結果重視に偏らないプロセスの磨きこみ、Bチーム主義による柔軟な組織運営、などです。 一方、「日本的要素」は、意思決定のスピードが遅くなったり、相互依存や甘えを誘発するなどのリスクもはらんでいます。 そこで、「日本的要素」を磨き、欧米型要素を付加することにより、リスクを補う「ハイブリッドモデル」こそ、「日本的経営」の進化型と考えています。
日本企業は欧米の企業よりも、ヒトを深く理解し、「人材構想」で先行しています。したがって、「人材構想」を描ききり、進化型「日本的経営」を実現していくことこそが、これからの日本企業の進化のあり方と考えています。
「成果主義」の出自と懐疑論 …「賃金」成果主義 80年代後半より導入され始めた「成果主義」は、競争環境の激しい変化の中で、いまや当たり前になりつつあります。その一方で、「成果主義」に対する懐疑論が論じられることも多くなりました。 90年代に「成果主義」が急激に広まったのは、伝統的日本企業の基本システムであった「年功型終身雇用制度」から脱却し、「人件費適正化」を行うための手段として採用する企業が急激に増加したことに起因します。そのため、被雇用者の立場からみると、人件費を圧縮されるような不安や反発につながることが多く、ネガティブなイメージを抱く人が多くみられました。 ワトソンワイアットの「成果主義論」 …「人事」成果主義から、「経営」成果主義へ しかし、「成果主義」は本来、企業の競争力を再生し、勝ち続ける体制へと進化するための組織・人材マネジメントのあり方です。特に、人事制度は、進化に向けての経営のメッセージを社員に伝える強力な仕組みであり、目標達成のへの動機付けによって全社の方針や戦略を浸透させ、行動変革の基軸として整備するものと考えられます。そこで、ワトソンワイアットは他社に先駆けて、競争力再生に向けた「成果主義」を提唱し、2000年ごろに着目され始めた「人事」成果主義への潮流を作り上げてきました。 「人事」成果主義は、人事担当者を対象とし、人事の枠組みの中で制度を整備することが中心です。しかし、今後は人口構成の急激な変化やグローバル化の本格化が進展するため、人材マネジメントに関して、「変えてはいけないもの」と多様性を持ちダイナミックに「変化し続けるべきもの」とを見極める必要があります。その上で、今後の成果主義においては、人事制度の枠にとらわれずに、当該企業の本来の強さを磨き上げていくための仕組みをトータルに構築することが求められます。このような視点で「人材構想」を描き、求められるマネジメントのあり方を明らかにして実現することを、ワトソンワイアットでは「経営」成果主義と呼び、経営トップの戦略パートナーとして企業や組織の進化を支援していきます。
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